「医療入門」は、佐賀医科大学一期生入学時より開講された「医学概論」が元になっている。時代の流れとともに、人間や社会制度の理解が、より重視され、2000年度に「医療入門」へと名称が変更された。疾患ではなく人に焦点を当てた医学を学ぶ教育として、現在は、1年次の「医療入門T」と2年次の「医療入門U」に分けて行っている。医療入門Uは、PhaseTの専門教育科目・専門基礎科目に位置づけられているが、医療入門Tと共に、「総合人間学」(人間を知る学習)として、医学科の“入門科目的な”位置づけでもある。 まず、自己主導型学修の習慣の重要性を再認識するところから、医療入門Uはスタートする。医療面接の模擬体験では、コミュニケーション能力の技法を身に付け、患者中心の医療の基本を学ぶ。行動医学の講義・演習では、人間の心理と行動や患者教育を身近なものとしてとらえる。健康の社会的決定要因の授業では、個人から地域へ、地域から世界へ視野を広げる。 授業ではグループ討論を多く取り入れている。他者の意見を冷静に聞き、また他者への建設的な批判ができる能力をこの機会に身につけて欲しい。これは、PhaseVのPBLチュートリアルにもつながっていく能力である。 実習では、社会から期待されている医療人像について深く考える。特に、クリニカル・エクスポージャー(CE)では、医師の職責を理解し、医師には患者の心を理解しようと努める豊かな人間性と寛容の精神が求められていること、倫理的・法的な規範に則った行動が求められていることを自覚することが求められている。 最後のまとめとして、授業全体を振り返り、ルーブリックを教員と学生による共同作業で作成する。